お風呂介助が楽になる声かけのコツ

~お風呂に入る理由をつくってあげよう

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はじめに

こんにちは。ケアマネのゆきちゃんです。

介護の3本柱「入浴」ですが、

「お風呂に入れてあげよう!」そう思って、張り切って介護現場に来たとおもったら、

「入りたくない」「昨日、入った。」「汗をかいていないから・・」

様々な理由で、すんなりとは入っていただけない方が一定数います。

さいごまで「入らない」「家で入る」を繰り返し、入浴のための誘導に時間を要してしまうのです。

今日は、入浴をお誘いするのコツをお伝えしたいと思います。

そのコツは「お風呂に入る理由をつくってあげる」です。

自分なりのこだわりがあるということ

 誰でも、自分の持っているこだわりというものがあります。

 ちなみに、皆さんは、いつ風呂に入られますか?ご飯の前?あと?それとも、寝起き?

 いつでも、どんな時でも入りたいですか?浴槽派ですか?シャワー派ですか?

 私は、夜じゃないと入りたくないですし、できたらシャワーではなく、浴槽がいいです。

 私は、よく、姉の家族と一緒に旅行に行くのですが、甥っ子は浴槽がないと嫌なタイプです。ホテルのシャワーが大嫌いで、必ず浴槽にお湯を張ってから入ります。

また、うちにお泊りに来たときにも、「今日は、面倒くさいからシャワーでいい?」というと、怒ります。

 小さくてもこだわりがあるんですね。

 その「こだわりがあるということ」を、まず、認めることから介護は始まります。

入浴介助というと、お風呂に入ってもらって、体を清潔にすることばかりに意識が行きがちです。もちろんそれはとても大切なことです。

でも、「入浴をすることが目的」なのではなく、「××をするために入浴が必要」という意識をまず、介護する側が理解することが必要ではないかと思います。

 そんなこだわりがあるのに、一生懸命「気持ちよくなりますよ」とか、「入らないと、体がかゆくなりますよ」なんて、声をかけても、対象者の心には届きません。ですから断られます。

もし、入浴を断られ続けているのであれば、その方のもっている「こだわり」とは何なのか?そこから突き詰めていくといいかもしれません。

 「なくて七癖」と言います。もしかしたら、あなた自身にも、自分の知らない「こだわり」があるかもしれませんね。

そもそも、あなたは、風呂に入る理由を自覚していますか?

そもそも、私たちは、どうして風呂に入るのでしょうか?

 汗をかいてきもちわるいから?健康のため?それが習慣だから?

 「いろいろな理由がある」からこそ、「入浴」します。

 でも、あなた自身に、いま、理由を聞かれたから、考えているだけで、●●だから、入浴しよう。と考えて、入る方は、あまりおられないかもしれません。(もちろん、職種によりますが)どちらかというと、無意識に、習慣の中で入っている方が多いのではないでしょうか?

では、逆に、入らない人の意見を聞いてみましょう

「そんなに汚れていない」

「この前入ったから、入らない。」

「年を取ると、そんなに入らなくても」

……。まあ、いろいろな理由をおっしゃいます。

では、「××だから入る」を成立させてみたらどうだろう?と私は考えました。

そうです。「汚れていないから入らない」を、「汚れたから入ろう」という気持ちになってもらおうと思いました。

庭仕事をたくさんしてもらって、「ありがとうございます。汗をたくさん書きましたね。洋服も汚れてしまいましたし、どうぞ、着替えてください。」と、風呂場に案内します。

もちろん、お風呂に入るために汚すという考えそのものが、ちょっと抵抗がある方もおられると思いますが、どうしても入っていただけなかった時の奥の手です。

私のお勧めは、庭の花木に水をやることです。

お風呂前にちょっと、庭の花木に一緒に水をまきに行っていただけませんか?

とお願いして、一緒に行くのですが、その時に、ちょっと手が滑ったふりをしてズボンに水を…。

「あ、汚れてしまいましたね。ごめんなさい。ちょっと着替えましょうか」

と言って入ってもらいます。

これで、何事例か成功しました…。夏場の暑いときには庭に一緒に出て、水撒きをするといいかもしれません。

でも、何回かやっていると勘のいい方からは、「あなたと、一緒に水を撒くと、いつも汚れてしまう」と言って、してくださらなくなる場合もあります…ので

やりすぎにはご注意を!

入らない人の事例の中で、お風呂の中で浴槽に入ると、「過去に湯あたりで倒れてしまったから入らない」という人もいました。

その方には、お風呂に一緒に行って、シャワー浴だけでいいんだといって、説得しました。

また、排尿の失敗をしているのを見られたくなくて、「入らない」とおっしゃる方もいらっしゃいました。

その方には、信頼関係が作ることができている、ちょっと年配のスタッフが固定で対応することにし、その方が入浴するときには、一人のスタッフだけが対応するようにし、ほかの人は、外回りのケアをするようにしました。

どうして入らないんだろう?を追求して、その人のロジックにケアを合わせてみることが大切ではないかと思います。

どのくらい待つのか?

さて、どんなに知恵を絞っても、手を尽くしても、入浴してくださらないケースはあります。

そのような人に、どうすれば、入っていただけるでしょうか?

答えは「待つ」です。

「わかりました。ではどのくらい待ちますか?」と、質問が返ってきそうですが、

答えは、「相手が納得するまで」です。

私たちの施設の、最長記録は、1年ですが、最近も、三か月待った方がおられました。

もちろん、皮膚の状態は非常に悪くなり、体中に湿疹ができ、褥瘡もできてしまいました。洗濯もさせてくださらなかったので、お部屋のにおいもすごい状態になりました。

ですが、本人より、「入浴すると病気になる」「そんなに声をかけると死ぬ」「出ていけ!!」などの強い拒否があり、なかなか介入することができませんでした。

この方は、入浴以外にも、閉じこもり、ご飯への特別な思い入れなどの課題があり、ほかの利用者とのかかわりが、ほとんどない方でした。

精神的な疾患の可能性もありましたので、精神科に長年勤めていている知り合いのナースにも、このようなケースはどうするのか?精神科にこのパターンの方が入院してきたときにはどうするのか?ということを聞いたところ、可能な限り「信頼関係を築き」、「待ってほしい」ということでした。

また、精神科では、どうしてもだめにな時には服薬で精神を鎮静化させ、眠っているときに入浴援助するということでしたが、これは、後で関係性が悪くなるので、可能な限りやめてほしいとのことでした。

この方、本人の機嫌がいいときには、おしゃべりをすることができましたので、本人の思いをずっと、聞き、必ず毎日「お風呂はどうすしますか?」「体はかゆくないですか?」「拭くのをお手伝いしましょうか?」「困ったことがあったら、言ってくださいね」と、いう時間を作りました。もちろん、全部断られていましたけど、信頼関係を築くことを最優先にしました。この件は、ご家族にも相談し、ご家族からも声掛けしてもらっていました。

ある時本人が部屋から出て来、「ちょっと、お尻を見てもらえないかしら?かゆくて、痛くてしょうがないのよ。」と、確認したところ、全身に潰瘍と、臀部に褥瘡ができていました。

その旨お伝えし、できたら、入浴して、薬を洗いながしたいこと(かゆみ止めを病院から大量にもらっていました)。入浴することによって、褥瘡や、かゆみが改善することを伝えました。

すると、いやいやですが、入ってくださったのです。

すごい垢が出てきて、最初に、シャワーで洗ったのですが、浴槽にも、たくさん浮かんでいました。入っているときに「誰の垢かしら?こんなに汚い風呂に入ったら、私病気になってしまうわ」などという言葉も聞かれたのですが、とにかく、入ってくださり、スタッフ一同大喜びでした。

入浴の際、「私は、特別な頭の洗い方をするのよ」と言われ、「だから、頭は洗わない」と言われましたが、「教えてくだされば、おてつだいしますよ。」と、言ったところ洗髪も受け入れてくださいました。後頭部から何度も逆方向に髪の毛をくし削り、本人が納得するまで数十回洗い流すのです。

本人のこだわりも、解消することができました。

その日をきっかけに週1回~2回は必ず入ってくださるようになりました。

まとめ

すぐに使うことができるものではなく、どちらかというと、精神論から入っていますが、それだけ、入浴のケアと、心のケアは、つながっています。

「あなたのケアだったら受け入れるわ」というところまで、とことん付き合うことが、大切なのかな?と思っています。

それでは…。

yuki

みなさまの在宅の生活を支援しているケアマネージャーのゆきちゃんです。

介護にまつわる情報を発信していきます。

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